『薬屋のひとりごと』の漫画が2種類あるのは、日向夏さんの同じ原作小説を、異なる出版社と制作陣がそれぞれ漫画化しているためです。どちらも公式の作品。ただし、なぜ二つの企画が成立したのかという詳しい経緯までは、確認できた公式情報で説明されていません。
同じタイトルの本が並ぶと、続編なのか、新しく描き直した版なのか迷いますよね。『こまちえ』のチャトです。この記事では2026年10月20日に確認した情報をもとに、2作品の見分け方と選び方を整理します。事件の結末や登場人物の正体には踏み込みません。
2種類あるけれど、片方が続編というわけではない
漫画の出発点になっているのは、日向夏さんによる小説『薬屋のひとりごと』です。その小説を、スクウェア・エニックスと小学館がそれぞれ別の漫画として刊行しています。同じ原作から枝分かれした関係なんですね。
スクウェア・エニックス版を読んでから小学館版へ進む、という順番はありません。どちらも猫猫の物語に最初から入れる作品です。「先に出た漫画を読まないと分からないのでは?」という心配はいりません。
気をつけたいのは、作品の関係と企画の裏事情を一緒にしないこと。2社が漫画化している事実は確認できますが、契約や社内判断の詳細は別です。出版社同士の競争やトラブルが理由だった、と推測で決めつけることはできません。
見分けるなら副題と作画担当をセットで
いちばん分かりやすい目印は、小学館版に付いている『猫猫の後宮謎解き手帳』という副題です。スクウェア・エニックス版の書名は『薬屋のひとりごと』。ただ、販売画面で長い題名が省略されることもあるので、作画担当も頼りになります。
| 比べるところ | スクウェア・エニックス版 | 小学館版 |
|---|---|---|
| 正式な作品名 | 薬屋のひとりごと | 薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ |
| 作画を担当する人 | ねこクラゲ | 倉田三ノ路 |
| 構成のクレジット | 七緒一綺 | 独立した構成担当の表記なし |
| 連載誌 | 月刊ビッグガンガン | 月刊サンデーGX |
| 原作 | 日向夏の同名小説 | 日向夏の同名小説 |
| キャラクター原案 | しのとうこ | しのとうこ |
| 買うときの目印 | 副題なしの書名と、ねこクラゲの名前 | 猫猫の後宮謎解き手帳の副題と、倉田三ノ路の名前 |
| 読み始める順番 | この作品の1巻から始められる | こちらも独立して1巻から始められる |
ねこクラゲさんが作画を担当するのがスクウェア・エニックス版で、七緒一綺さんが構成を担当しています。倉田三ノ路さんが描くのが小学館版。原作者の名前はどちらも日向夏さんなので、そこだけでは区別できないんです。
「ガンガン版」「GX版」という呼び方も見かけますが、購入する本では正式な作品名と作画担当を照合すると確実です。私なら、表紙の色や猫猫のポーズより、この二つを先に見ます。巻ごとに変わらない目印だからです。
絵柄と読み味は、どこが違う?
同じ猫猫や壬氏が登場しても、描く人と構成が変われば、表情や会話の間合いは変わります。ABEMA TIMESの比較記事では、スクウェア・エニックス版は華やかな絵柄やラブコメ的な表現が特徴として紹介されています。
対して小学館版は、クールな絵柄やミステリーの見せ方、事件の背景説明が特徴とされています。ただし、これは読み味の傾向です。「片方は恋愛だけ、もう片方は謎解きだけ」というように、内容が分かれているわけではありません。
絵の好みは説明だけでは決めにくいところ。猫猫の普段の顔と驚いた顔、壬氏とのやり取り、説明が続くページを比べると、何に違いを感じるかが見えてきます。表紙一枚より、会話のある本文を選ぶのがよさそうです。
話は同じ?原作に忠実なのはどっち?
大きな出発点や物語の軸は共通ですが、漫画としての場面の組み立てや、取り上げる細部まで同一ではありません。同じ小説の漫画化でも、どの説明を会話にするか、どこで一話を区切るかによって読み心地は変わります。
「原作に忠実なほうを選びたい」という気持ちも分かります。ただ、忠実さは一つの物差しでは測れません。出来事の収録、人物の印象、心理の伝え方など、気にする点によって評価が変わるため、公式の優劣のように扱わないほうが自然です。
原作の文章そのものを知りたい場合は、小説という選択肢もあります。漫画のどちらかを間違い扱いするより、漫画ならではの表現を楽しむのか、小説の描写を確かめたいのかで考えると、選ぶ目的がはっきりします。
アニメから来た人も、どちらを選んで大丈夫
アニメを見て漫画を探すと、「アニメの原作になったほうを買えばいい?」と思いますよね。アニメ公式の原作表記は、日向夏さんの小説です。二つの漫画のうち、どちらかだけがアニメの原作として記載されているわけではありません。
公式のスタッフ表では、キャラクター原案はしのとうこさん、アニメのキャラクターデザインは中谷友紀子さんです。漫画の絵がアニメに似ていると感じても、それだけで「こちらがアニメの原作」と判断することはできません。
アニメの続きを読みたいときは、もう少し注意が必要です。漫画2作品と小説では巻数の区切りが異なり、同じ巻番号で同じ場面になるとは限りません。読んだ範囲の最後の出来事を手掛かりに、目次やあらすじからつなぎ目を探します。
巻数だけを頼りに買うと、ここで迷う
「10巻まで読んだから、別の版の11巻を買おう」。これは避けたい買い方です。2作品は独立したシリーズなので、巻番号をそのまま引き継げません。話が戻ったり、まだ読んでいない部分を飛ばしたりするおそれがあります。
また、刊行巻数が多いことと、一冊に多くの原作内容が入っていることは別です。一冊の分量や構成が違えば、巻数と物語の進み具合は一致しません。先の展開が目的なら、冊数の比較より収録内容の照合が必要になります。
電子書店で「単話」「分冊版」と表示されている商品も、通常の単行本とは番号の単位が違います。買い足す場面では作品名に加え、作画担当、巻単位か話単位かをそろえると、重複購入の原因を減らせます。
迷ったら、続けて読みたくなる1巻を選ぼう
人物の表情や華やかな見せ方にひかれるなら、ねこクラゲさんのスクウェア・エニックス版を比較の出発点に。事件の説明や落ち着いた読み味が気になるなら、倉田三ノ路さんの小学館版から候補にしてみると選びやすいです。
- 登場人物の顔や表情を楽しみたい→会話場面で猫猫と壬氏の描き方を比べる
- 謎解きの筋道を追いたい→説明があるページの文章量やコマの流れを見る
- アニメの続きを探したい→巻番号を決め打ちせず、収録された出来事を照合する
- 途中の巻を買い足したい→手元の本と作画担当・出版社・商品形式をそろえる
- 予算を決めて選びたい→通常版と特装版を区別し、購入予定の巻の合計金額で比べる
- 家族と同じシリーズをそろえたい→購入済みの本の著者名を共有しておく
ただし、この分け方は入口にすぎません。恋愛描写が好きでも小学館版の絵柄がしっくりくることはありますし、謎解きが好きでもスクウェア・エニックス版の表現にひかれることはあります。好みを一つの分類に押し込めなくて大丈夫。
チャト私は「どちらが正解?」より、読み続けやすいほうで選びたいです
私が選ぶ基準にするなら、「説明を無理なく読めるか」と「次のページをめくりたいか」です。両方を最初からそろえる必要はありません。まずはそれぞれの1巻の商品ページや試し読みを見比べ、気に入ったシリーズから始めてみてください。





