カメムシが大量発生していると聞くと、洗濯物や窓の周りも気になりますよね。ただ、2026年10月に静岡県が出した警報は、果物に被害を与える「果樹カメムシ類」が対象です。家庭で見かけるカメムシ全部について、同じ規模の発生を知らせるものではありません。
『こまちえ』のチャトです。私が気になったのは、農業の警報が暮らしにどう関係するのか、そして家に入れないために何ができるのか。2026年10月13日に確認できた資料をもとに、大量発生の背景と、秋の洗濯物・室内への対策を整理します。
静岡の警報は「家に大量に来る」という意味?
静岡県は2026年10月1日、かんきつやカキなどを対象に、果樹カメムシ類の警報を発表しました。主な対象はチャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシ。果実の汁を吸い、変形や落果などを起こす虫です。
報道で目を引く「約20倍」は、県内4か所の予察灯で調べた9月1〜20日の誘殺数の平均です。19,512頭を平年の960頭で割ると約20.3倍。調査用の灯りで捕まえた数で、住宅への飛来数や果物の被害率を表した数字ではありません。
同じ期間でも、フェロモントラップ6か所の平均は平年の約2.5倍でした。調べ方によって数字が違うんですね。警報から分かるのは果樹園への飛来リスクが高いこと。各家庭で何匹見かけるかまで予測できるわけではありません。
| 静岡県の調査方法 | 2026年9月1〜20日の平均誘殺数 | 平年の平均誘殺数 |
|---|---|---|
| 予察灯4か所 | 19,512頭 | 960頭 |
| フェロモントラップ6か所 | 269頭 | 107頭 |
山の餌が減ると、果樹園へ移ってくる
果樹に被害を与えるのに、普段の繁殖場所は山林。ここが少し意外です。果樹カメムシ類はスギやヒノキの球果を餌に増え、山林で餌が不足すると果樹園に飛んできます。ミカンやナシ、カキなどの果実が、その先の被害を受けます。
球果は、スギやヒノキにできる実のような部分です。カメムシは針状の口を差し込んで、中の種子から汁を吸います。森林総合研究所の研究紹介でも、ヒノキの種子に吸汁痕が残ることが示されており、単に木に止まっているだけではありません。
だから、気温だけで大量発生を説明するのは難しいところ。餌の量とカメムシの数、山林から移動する状況が関わります。静岡の警報も、ヒノキで増えた虫が果樹園へ移るおそれを指摘しています。家の近くの数だけでは、山林や園地の状況は分かりません。
前年の暑さだけで原因は決められない
「暑かった翌年は、必ずカメムシが増える?」と考えたくなりますが、そこまで単純には言えません。2026年に公表されたヒノキ天然林の研究は、高知県と長野県の林分で、種子の生産や虫による吸汁被害の年ごとの変化を調べたものです。
調査では両地域とも種子生産量の年変動が大きく、温暖な高知県の林分では、長野県より健全な種子の割合が低い傾向がありました。カメムシと餌になる種子の関係を考える資料ですが、全国の住宅への飛来数を予測する研究ではありません。
高知県が研究に登場すると、高知市の発生状況も気になりますよね。ただし、研究対象の林分と市内の住宅地は別の場所です。私なら、研究で分かった仕組みと、住んでいる地域の発生情報を別々に読みます。地域名が同じだけで結論を広げないためです。
秋のカメムシはいつまで気をつける?
家庭では、秋の越冬場所探しが気になる時期です。京都市は10〜11月ごろ、カメムシが屋内に入り込むことがあると説明しています。日当たりのよい外壁に飛来し、窓の隙間などへ潜り込むほか、洗濯物に付いたまま室内へ入ることもあります。
2026年10月8日発表の1か月予報について、ウェザーニュースは全国的な高温傾向を伝えています。ただし、気温の予報は虫の飛来終了日を示すものではありません。「11月になれば必ず終わる」と日付で区切らず、身近な飛来状況を見て対策を続けるのが現実的です。
暖冬の見通しから、2027年も大量発生すると決めるのはまだ早い段階です。季節予報は一定期間の平均的な天候を確率で示すもの。冬の毎日が暖かいと約束する予報ではなく、翌年のカメムシの数を直接示すものでもありません。
洗濯物は、取り込む前のひと手間から
家に持ち込む経路として見落としたくないのが洗濯物です。窓を閉めていても、衣類に付いていた虫を一緒に取り込めば室内に入ってしまいます。堺市は、10〜11月に外干しをやめて室内干しにすると、カメムシの付着を防ぐ効果があるとしています。
毎日すべてを室内干しにするのが難しいなら、外干しした物をそのまま抱えて入れる前に、付着していないか見るところから。これは洗濯物が侵入経路になるという情報を踏まえた、暮らしの中で取り入れやすい確認です。虫を見つけても強くつぶさず、そっと取り除きます。
外壁や干し場で何匹も見かける日は、外干しを続けるか迷うところですよね。そんな日は室内干しを選ぶ方法もあります。家庭への付着対策と農作物の防除は目的が違うので、果樹園向けの農薬散布を衣類の対策へそのまま置き換えないようにします。
窓を閉めているのに入るなら、隙間を探す
カメムシは、堺市の説明では2〜3ミリメートル程度の隙間から屋内へ入れます。「窓は閉めているのに」と感じるときは、網戸や窓の周辺に隙間がないか見るのが先。大きく窓を開けたときだけが、侵入の機会ではないんです。
網戸や窓の隙間には、隙間テープを使う対策があります。換気扇口や給排気口も侵入経路になり得ますが、換気設備を丸ごとふさぐ方法にはしません。通気を保った対策が必要な部分や、手が届かない場所は、管理会社などに相談すると進めやすくなります。
灯りも見直す余地があります。京都市は、消してよい照明の光量を下げることや、防虫用ランプなどによる飛来抑制を紹介しています。玄関や通路で必要な明るさは確保しつつ、窓の近くで不要な灯りをつけたままにしていないか見てみます。
室内で見つけたら、つぶさず落ち着いて
見つけた瞬間にティッシュで押さえたくなるものですが、強い刺激は臭いの原因になります。堺市が紹介するのは、紙やガムテープを使って、つぶさないようにそっと捕まえる方法。手近な道具で対応するときも、力を入れて押しつぶさないのがポイントです。
殺虫剤を使う方法もありますが、家にあるスプレーを何でも使えばよい、という話ではありません。カメムシ用の製品で対象の虫と使える場所を見て、表示どおりに使用します。衣類や室内、外壁では使用条件が違うことがあるため、製品ごとの説明を優先します。
何度も入ってくるなら、捕まえるだけでは手間が続きます。虫がいた窓や洗濯物など、入口の候補を絞って対策を組み合わせるほうが取り組みやすいです。私は、臭いを出さずに片づけることと、次の一匹を入れにくくすることをセットで考えたいと思います。
チャト見つけた一匹を追う前に、紙などの道具を手元に用意しておきたいですね
果樹を育てている人は、地域の予報も見る
庭の果樹や果樹園がある場合は、室内対策とは別に果実への被害を考えます。農林水産省の2026年10月7日発表の予報では、東海と四国の一部地域で果樹カメムシ類が多い見込みです。「一部地域」なので、四国全域や高知市全域が同じ状況とは限りません。
園地では、防虫ネットの破れや開口部を点検し、飛来状況に応じて対策を取る考え方があります。薬剤を使う場合は、育てている作物に使えるか、収穫まで何日必要かが重要です。静岡の警報も収穫前日数への注意を挙げており、家庭用の虫よけとは分けて扱います。
農林水産省の全国予報は、各都道府県の情報を取りまとめたものです。果樹の被害が心配なら、住んでいる県の病害虫防除所の発表と実際の園地を見ます。家庭では洗濯物と窓の隙間から。心配している場所に合う対策を一つ選ぶと、次にすることが見えてきます。





